第4章 【安室 透】看病
透さんの愛車、RX-7の助手席に乗せてもらい目を見開いた。
この背凭れ、かなり倒れてるけど・・・・・・誰かが寝た・・・というか、ナニかをした・・・?
「勘違いしないでくださいね。背凭れは今こちらに来る時に倒しました。勝手な妄想禁止ですよ?」
「なっ・・・!!し、してませんよ!!」
焦った。堂々と浮気を告白されたのかと思った。
反応に困るからやめてほしい。
でも何の為に倒したのだろう。この体勢で座っていたら眠くなってしまう・・・。
「寝ていいですよ。熱ありますよね?顔が赤いです」
「いえ、これは・・・・・・っ!!」
「・・・うん、熱い。38度ってところでしょうか」
透さんの額が、私の額に触れた。
近い!!透さんのせいで赤いんです!!と言いたいが、よく考えてみたら、朝起きた時から喉と頭が少し痛かった。
乾燥のせいだと思い、うがいをしてのど飴を舐めて探偵事務所まで電車で来たのだ。
透さんの顔を見たら安心して気が抜けたのかもしれない。
コナンくんも熱があると気付いてたのかな?
何者なんだろう、あの小さな探偵さんは。
「無事に辿り着いてくれてよかったです。途中で倒れたなんてことになったら、僕の心臓止まりますよ」
「そんなに具合悪かったらさすがに来ませんって!」
「さんは無理する所がありますからね」
「家に着くまで寝てください」と、ジャケットを掛けてくれた。
透さんの匂い・・・安心する・・・。
運転してもらって助手席で寝るなんて失礼なことできない、と思っていたのに、ジャケットの匂いと車の揺れが心地良くて自然と瞼が閉じていった。