第4章 【安室 透】看病
「あの・・・実は、今日報告をしようと思って来たんです」
「え?何ですか?」
「僕とさん、お付き合いすることになりました」
緊張しながらも自分で言おうと思っていたら、透さんが先に報告してくれて、おまけに「ね?」とこちらにウインクをくれた。
かっこよすぎます、透さん・・・!!
突然の不意打ちに、自分でもわかるくらい顔が赤くなってしまった。
「きゃー!!そうなんですか!?だから"透さん"って呼んでたんですね!前は"安室さん"でしたもんね!」
「あ、はい・・・お恥ずかしい・・・」
「あれからずっと連絡取ってたってことかァ!?まさか捜査中に手だしてないよな!?」
「そんなことしませんよ。解決してからです」
元彼のことが解決して、頻繁に取っていた連絡がパタっとなくなった時に透さんの存在が大きくなっていたことに気が付いた。
だからと言って依頼していた探偵さんに好意を伝える勇気もなく、諦めようとしていた頃に安室さんから連絡をくれたのだ。
紳士そうに見えて手が早いのかと思っていたけど、連絡やデートを数ヶ月重ねて最近付き合うことになった。
それからの手の早さは思っていた通りだったが。
「・・・さん、大丈夫ですか?」
「え?あ、はい!ごめんなさい、ぼーっとしてました・・・」
「そろそろ帰りましょうか。車を取ってきますのでここで待っていてください」
「えっ!?もう!?いや、透さんお仕事中ですよね?私1人で・・・」
透さんは私の話を聞かず、ささっと事務所から出て行ってしまった。
さっき来たばかりなのにもう帰るだなんて・・・まだ全然お話していない。
「さん顔赤いよー?大丈夫?」
「あ、大丈夫だよ!これはさっきちょっと・・・ね」
「でも、さんが幸せそうで安心しました!また色々聞かせてくださいね!」
「はい!是非!」
すごい速さで戻ってきた透さんに呼ばれて、探偵事務所を後にした。
そんなに急いでどうしたんだろう。
出掛ける約束はしてなかったのに・・・。