第3章 【降谷 零】上司からの愛
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「シャワー浴びられてたんですか?」
「ああ、悪いな」
「降谷さんは朝風呂派なんですね!」
喫茶店の潜入調査のため、降谷さんに頼まれた"ごく普通の服"を買って届けに来たのだが・・・
自宅に向かう前に連絡をすると「30分後に来てくれ」と、いつも冷静な降谷さんが慌てていた。
これはおかしい・・・。まさか女が来ているのか!?と思ったがリビングには誰もいない。
「朝食買ってきました!まだでしたらどうぞ・・・」
「ありがとう」
コンビニで調達したおにぎりやサラダを渡しながら、家の中をキョロキョロ探してしまう。
寝室・・・を見るのはさすがに失礼だよな。
だとしたら・・・。
「降谷さん、洗面所をお借りしてもいいですか?」
「・・・片付けるからちょっと待て」
今の間!怪しい!何か隠しているはずだ!
降谷さんが慌てて片付けに行っている間に犬のハロと久々の再会を喜び合う。
相変わらず可愛いな!お前はこの家に女がいるのを見たことがあるか?
伝わるわけもないのに、心の中でハロに問いかけた。
「はぁ・・・お待たせ。ほら、ハロおいで」
「すみません、失礼します!
ハロを抱き上げている降谷さんを横目に足早に洗面所へ入る。
・・・・・・やっぱり!!!
降谷さんにしては長い髪の毛、歯ブラシ立てには歯ブラシが2本、ヘアピンもある。
これは確実に女がいる!!!
・・・しかし、降谷さんに限って自宅に女を連れ込むなんてことがあるだろうか。
そう思いながら、洗面台の扉をあけると化粧落としが置いてあった。
これはもう・・・決まりだな。
この髪の毛の色からすると・・・ポアロの店員ではない。もちろん、犬の毛でもない。
誰だ?うーん・・・・・・もしや・・・・・・!?
降谷さんの常に近くにいる女と言ったら、が濃厚だ。
職務中は厳しく扱っているのにプライベートでは親密な仲なのか!?
まさか・・・そんな・・・。
密かに好意を抱いている後輩が降谷さんと・・・と、想像してしまいショックを受けた。