第1章 【降谷 零】合コン
──────こんな偶然ある・・・?
「「「かんぱーい!!!」」」
授業が終わり、約束の18時に合コン会場の居酒屋に来た。
先に来て座っていた男性4人組。
適当に席に着いた私は、目の前にいた2人の男性に目を見開いた。
先程思い出していた幼馴染、降谷零と諸伏景光・・・に似ている。
いや、片方は間違いないよね?この金髪と褐色肌・・・。
向こうも驚いた様子でこちらを見ている。
まさか本人たちに会えるとは・・・・・・世間は狭い。
「・・・・・・?」
「あ・・・うん。久しぶり!零とヒロくん・・・だよね?」
「うわーマジか!!大人になったなー!!いつぶりだよ!?」
テンションの高いヒロくんの横で、まだ口を開けたまま驚いている零。
たしかに驚くよね。こんな所で再会するなんて。
ちゃんしたお別れも言えないまま引っ越してしまって・・・あの時どう思ったのだろうか。
「何だよ?知り合いか?」
「あぁ・・・昔、近所に住んでた・・・幼馴染だよ」
幼馴染・・・・・・そう。幼馴染、なんだけど・・・。
少なくとも私は、零に対して特別な感情を抱いていた。
あの頃は大きくなってもずっと一緒にいられると思っていたから、一度も気持ちを伝えたことはなかったけど。
大好きだった。私の初恋の人だ。
「ちょっと!!こんなイケメンの幼馴染が2人もいたのに黙ってたの!?」
「いや・・・私引っ越したから、10年くらい会ってなかったよ」
美波からの「ずるい!紹介して!」オーラが怖い・・・。
たしかに・・・背も伸びてイケメンになったな。
昔から可愛い顔をしていて女子に人気があったけど、今も相当モテるのだろう。
でも、合コンに来るということは恋人はいないんだよね。
大人の男性になった零の表情や仕草にドキドキして、目を合わせられなくなってしまった。