第1章 【降谷 零】合コン
秋も後半に差し掛かりクリスマスまであと1ヶ月。
「彼氏なんてそのうちできるでしょ!」と、たかを括っていた友達から焦りが見え始めた。
同じ大学の学生に積極的に話し掛けたり、紹介や合コン、バイト先など、出会いを求めてあちこち彷徨っている。
「!今日合コンだから来てね!!」
「えー・・・・・・もう行かなくていいって言ったよね?」
「今日だけ!お願いっ!!奢るから!!」
「そのセリフ何回目よ・・・」
そこまでして恋人が欲しいのだろうか。
クリスマスを一緒に過ごせれば誰でもいいの?
好きでもない人と付き合って、一体何が楽しいのか私には理解ができない。
疑問は色々と浮かぶが、友達のことは大好きだから仕方なく毎回参加している。
ご飯を奢ってもらえるから・・・というのもあるが。
「今日はどんな人なの?」
「今日はねぇ〜、なんと!警察学校に通ってるんだって!警察官の彼氏だなんてかっこよくない!?」
「警察学校・・・」
警察官と聞いて思い出すのは、幼馴染だった1つ年上の2人の男の子。
10年前、私が引っ越して疎遠になってしまった。
「将来は警察官になる!!」と、目をキラキラさせて話していたのをよく覚えている。
今もその夢が変わっていなければ、年齢的にあの2人も警察学校へ通っている頃か・・・。
合コンに来る人たちは2人のことを知っているだろうか。
せっかくの機会だから聞いてみよう。
いつも乗り気ではない合コンだが、今日は少し楽しみになった。