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あの方々の守護霊は2[dzl]

第13章 白蛇のため息


 私はじっと白蛇を見つめる。鏡に映る白蛇は相変わらずそこから微動だにせずに聞いたこともない声でシャラシャラと笑った。
「そうかそうか、ワシらの言葉を聞くのは初めてだったか」と白蛇は語る。「ワシは白蛇。ワシはオオハラの……確かオヌシはメンと呼んでおったな。ワシはメンの守護霊だ」
「は、はい……」
 私は白蛇を見つめることしか出来なかった。とりあえずなんとか声を絞って返事はするが、頭の中は整理がつかない。
「ん? このような姿では落ち着かぬか? 少し待たれよ」
 白蛇は私の返答を待たずにぴょんっと飛び上がった。
 そこから見えなくなったと思えば、横から声が聞こえてますます驚いた。
「ワシはこっちだ」
 という白蛇は、私の横に正座している男性のような人間へ姿を変えていた。とはいえよく見ればチラ見えする肌は人とは思えない程真っ白で、ところどころ鱗のようなものが見えて、メンさんのところで初めて見た守護霊の姿と同じだ、と私は思った。
「あの……」ついその奇妙な美しさに見取れてしまいそうになりながら、私は口をついていた。「メンさんのところには、戻らないんですか……?」
 すると、白蛇さんの黄色く鋭い眼光が貫くみたいに見つめるから、失礼なことを聞いたのではないかと私は咄嗟にそう思った。
 だが、白蛇さんは大口開けてシャラシャラ笑うので、どこかメンさんに似ている気がした。
「なぁに、すぐに戻る。奴らが蛇が嫌いと申すから、ちょっと揶揄っただけのこと」
 とはいえ、メンさんたちには視えないのですが……と思うと、これもまた心境を見抜かれたかのように白蛇さんがシャラシャラと笑った。それも一興。とでも言うかのように。
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