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あの方々の守護霊は2[dzl]

第9章 ぼんじゅうるさんの守護霊


「どうしたの?」
「あ、いえ……少しでも頭痛がよくなったらと思って」
「ありがと」
 痛みに顔を歪めながらぼんじゅうるさんは力なく笑った。私があまりここにいると、彼は無理をしてしまう気がした。兎のお守りをぼんじゅうるさんのその長い指先に渡し、ここはもう帰ろうと立ち上がった時だった。
「えっ」
 私はぼんじゅうるさんの身に起きたことに目を見張った。ぼんじゅうるさんはすぐにどうしたのと聞いてきたので、私は頭の中をよく整理し、本当のことを告げた。
「ぼんじゅうるさんの頭に、兎の耳が憑いたんです」
「え、頭に?」
 ぼんじゅうるさんは自分で頭を触ってみたが、もちろん実体がある訳ではないので透けるばかり。だが私の目には確かに、長くて白い兎耳がぼんじゅうるさんの頭から伸び、顔を傾ける度にゆらゆらするからつい目がそちらへ向いてしまう。
「ふふ……ちょっと、かわいいです」
 四十代の男性が兎耳をつけることなんてそんなに見れるものじゃない。とはいえ笑ってしまった声を抑えようと口元で抑えるものの、ちらちらと視界にぼんじゅうるさんの兎耳が見えてしまって私は堪え切れなかった。
「あははっ、ご、ごめんなさいっ。まさか、兎耳が憑くお守りなんて知らなくて……」
 自分が持っていた時はそうはならなかったのに、と私はぼんじゅうるさんからとりあえず目を逸らしてあることに気が付いた。
 どういうことなのか、周りにいた大量の虫の幽霊はあっという間にいなくなっていたのである。テーブル越しの向こうではモダンの守護霊さんがいてニカリと笑った。どうやら周りの幽霊を倒し切ったみたいだ。
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