第9章 ぼんじゅうるさんの守護霊
「虫の幽霊なんて初めて見たのでよく分からないのですが……」私はなんとか話を続けた。「多分、この幽霊たちは電話とかの電波を妨害しているんだと思います。なのでドズルさんが、連絡が取れないと慌てていらっしゃいました」
「え、そうなの?」
「はい」
「けど、俺の声は聞こえてたみたいなんだよな」
「多分それは、ぼんじゅうるさんの守護霊さんが強いからだと思います」
そう言うと、ぼんじゅうるさんの守護霊が分かりやすく喜んだ。声は聞こえないが、よっしゃあと言っているかのようにポーズを決めている。見た目から考えるに、言動はアメリカンな感じがするから感情もストレートなのだろう。
「へぇ……やっぱモダンは強いんだな」
とぼんじゅうるさんが言うと、守護霊は俄然やる気を出したのか、壁を張っていたムカデみたいな大きな虫の幽霊へ殴りかかりにいった。随分好戦的である。
「はい。だから、ぼんじゅうるさんの周りには虫の幽霊はいないんです。モダンさんが頑張っているので」
「じゃあ今度焼肉に連れて行かないとな」
ははははっと冗談っぽく笑うぼんじゅうるさん。そうしている間にぼんじゅうるさんの守護霊は次々と周りの幽霊たちを倒して行くが、あまりにも大量にいてキリがないように見えた。
そういえば、守護霊へのお礼ってどうするんだろう。
分からないが、きっとお礼はした方がいいだろうなと私は思った。それにぼんじゅうるさんの守護霊は案外かわいいし。お礼をしたらもっと喜んでくれそうだ。