【R18】禪院直哉→私←五条悟❇︎傷だらけの婚約者❇︎
第3章 直哉との3年間②※
直哉の顔がななの顔に近付いて、ちゅっと軽く唇に触れた。
「危ないさかい……分かったな、なな。」
そう言って唇を離してななに言った直哉の表情は、恍悦に満ちた笑顔だった。
「……うん………。」
もう、どうでも良かった。
1人で歩いた道は暗くて、出口が無いような虚無感だった。
それを頑張って歩いても、結局はこうしてここに居る。
素直に頷くななに直哉はニッコリ笑ってまたキスをする。
「好きやで、なな。」
それは嬉しそうに何度も何度もキスを繰り返すので、ななはぎゅっと直哉の肩を掴んだ。
「はぁ……キスしたのは初めてやな…。」
ななの顔を撫でながら直哉は呟いた。
そうか、今私は直哉くんとキスをしているのか…。
直哉の唇は柔らかくて、抱かれている腕は嘘みたいに優しくて、直哉の匂いでいっぱいだった。
たった1人、この蔵の中で居て。
いつの間にか、この腕だけがななの居場所になるのに。
そう時間はかからなかった。