【R18】禪院直哉→私←五条悟❇︎傷だらけの婚約者❇︎
第3章 直哉との3年間②※
私……何がしたかったんだっけ……。
ただ、家に帰りたかっただけなのに……。
だんだん意識が戻ってきて、ななは薄っすら目を開けた。
目に入ってきた視界は、いつも見ている高い蔵の天井だった。
「なな。」
しばらく天井を見上げていると、直哉の声が聞こえてななはその声の方に目を向けた。
胡座をかいてななを見下ろしている直哉の顔は、無表情ではあるが、そんなに怒ってはいなかった。
「………あの人達は?」
ななは心配してくれた男達を思い出して直哉に聞いた。
その言葉に直哉はフッと笑った。
「ちゃんとお礼言うて、帰って貰うたで?」
そう笑って言う直哉の顔に、ななは目を細めた。
その言葉が嘘かどうかは、もうななには分からなかった。