【R18】禪院直哉→私←五条悟❇︎傷だらけの婚約者❇︎
第3章 直哉との3年間②※
「なな。」
直哉の声が聞こえて、ななは顔を上げた。
少し遠くから直哉と、その後ろに数人の禪院家の男達が見えた。
「帰ろか、なな。」
ニッコリ笑って手を差し出している。
その直哉の顔に怒りがある事が分かると、ななは目を細めた。
「あ…もうちょっとで警察来るから…。」
1人の女の子を、こんな大勢で迎えに来るのはおかしいだろう。
男は不信感を出しながら直哉に言った。
その男の言葉に、直哉の顔がスッと真顔になった。
「何人の女に触ってんねん、カスが。」
掴まれているななの腕を見ながら低い声で言った。
その直哉の怒気に、ななの肩が跳ねた。
バッと男の手を振り払って直哉を見た。
「直哉くん…この人達親切で言ってくれてるのっ!」
悪いのは自分なのに、巻き込む訳にはいかなかった。
残念な事に、ななが庇えば庇うほど、直哉の機嫌は悪くなるのだ。