【R18】禪院直哉→私←五条悟❇︎傷だらけの婚約者❇︎
第3章 直哉との3年間②※
「なな、今日は着物の着付けを練習して。」
それは急な直哉の命令だった。
ななが戸惑ったのは、今日は友達と遊びに行く予定だったからだ。
勿論、直哉はそれを見越してななに告げている。
「……直哉くん…私にも予定あるから、先に言ってくれないと困るよ。」
こう言えば直哉の笑みが冷たくなるのが分かっているが、ななは言わずにはいられなかった。
たまに直哉はこうしてななを試す様に無茶振りをする。
「そうやな、帰って来てから着付けやるさかい、遅ならんと帰って来な。」
ななの答えが分かっていても、直哉は帰る時間さえ指定する。
そんな直哉にため息が出る事も多かった。
こうした困った事を言う事以外は、直哉は優しかった。
その優しい時と、直哉の我儘な時の差が大きくて、ななはいつも戸惑った。