【R18】禪院直哉→私←五条悟❇︎傷だらけの婚約者❇︎
第19章 私の直哉くん※
それでも、あの空を掴もうとして伸ばした手の先には、どうしても直哉しか見えないのだ。
どんなに嫌われても、どんなに蔑まれても。
どうしようもないほど愛しているのは、やはりたった1人だ。
悟がこうして側にいてくれて慰めてくれても、この心は悟に向かわない。
そうハッキリと分かって、悟の顔を見るのも辛かった。
うっうっ、と嗚咽を繰り返して泣いているななから体を離した。
流石に……もう…。
この身体を抱こうとは思えなかった。
要らないと言われているのに、この身体はどうやら他の男のモノでいるらしい。
馬鹿馬鹿しくて、涙も出やしない。
「……はぁ…萎えた…。」
顔を両手で覆って泣いているから、その顔は見れなかった。
でも、それで良かった。
ななの顔を見たら、無理矢理にでも抱いてしまいそうだったから。
「…今日は1人で帰れよ。次そんな面してたら高専叩き出すぞ。」