【R18】禪院直哉→私←五条悟❇︎傷だらけの婚約者❇︎
第19章 私の直哉くん※
いつも座っていた椅子もあって、ななは思わずその椅子に手を伸ばした。
「やっぱここが好きなんか?」
急に背後に聞こえた直哉の声に、ななはビックリして振り返る。
ななの顔を確認すると、直哉が嫌な顔をして舌打ちをする。
「少しはマシになったけど、やっぱグズグズやな。」
そう言って同じ様に蔵の中に入って来る直哉に、ななは一歩下がった。
「ほんまによぉその顔で俺の前におられるなぁ。」
心底嫌悪感を出してそう言う直哉に、ななは目を細める。
そうだな。
この場所があると言う事は、今この蔵に住んでいる人が居ると言う事だ。
そしてそれは間違いなく、美しい。
直哉が愛でる為の女性だろう。
久しぶりに湧き上がる不快な気持ちに、ななはため息を吐いた。
本当に何度この気持ちを味わえば気が済むのか…。
自分が嫌になる。
「……わざわざ出迎えなくても良かったのに。」