【R18】禪院直哉→私←五条悟❇︎傷だらけの婚約者❇︎
第19章 私の直哉くん※
久しぶりに訪れる禪院家の門。
勿論その日も裏口から敷地内に入って行った。
今日は真っ直ぐに直哉の居る母屋に向かった。
直哉はななと会うのを拒否したが、悟が直毘人と話を通してくれた。
なのでこうして母屋を歩いていても、誰も何も言ってこない。
通り過ぎる人達の視線だけはいつもと違っていた。
いつも居ないように扱われるのが、この日は振り返ってななを確認する人も多い。
当たり前か。
直哉が寵愛していたななが、こんな傷だらけで現れたのだから。
直哉の部屋の前に来ると、中に直哉の気配があるのが分かった。
「……直哉くん、入るよ。」
直哉からは何の返事も無い。
半年も時間を空けていたのに、まだ会えないと言うのだろうか。
ななは直哉の返事も聞かずに襖を開けた。
その瞬間に、懐かしい直哉の香の匂いがななを包んだ。
その香りに胸が締め付けられて、ななは目を細めながら直哉を見た。