【R18】禪院直哉→私←五条悟❇︎傷だらけの婚約者❇︎
第18章 始まりと終わり※
俺が窓枠から部屋の中に入ると、ななは随分と慌てた。
その様子から、普段他の男が自分に近づくと、直哉くんがどうしていたのか手に取るように分かった。
『……ここに閉じ込められてるの?』
『……そんな訳無いじゃない…。』
モジッと両手を繋いで、指を交互に動かしているななをジッと見た。
自分がどんな環境に置かれているか理解している。
なのにそれを拒否するのは……直哉くんへの気持ちなんだろう。
そして直哉くんもまた、ななのその性質を知っていてやっている様だ。
歪んだこの2人の関係を壊したらどうなるのか。
そんな暇つぶしの延長の気持ちが俺に湧いた。
『あんたここから出たい?』
そう言った俺を、驚いた顔でななは見上げたが、その目に確かな期待が込められているのを俺は見逃さなかった。
『俺が拐ってやろうか?』
『何で?』
ななのその返しの言葉に俺は口角を上げた、