【R18】禪院直哉→私←五条悟❇︎傷だらけの婚約者❇︎
第15章 新しい感情※
結局、それ以上は何も言えなくて、背を向けたのはななの方だった。
泣きながら廊下を走ってるとすれ違う人達が好奇の目で見てくる。
そんな姿すら気に留めることも出来ずに、すぐに直哉の部屋に入った。
「…はっ…。」
襖を閉めて、軽く息を吐いた。
これ以上ここに居たくない、早く出ていこう。
ななは洋服に着替えようと、帯に手をかけた。
ガラッと襖が開く音がしたが、振り返らなくてもそこに誰が居るかすぐに分かる。
「……何やっとんの?」
「……出て行くんだよ…。」
ななは直哉を見ないで、グイッと手で涙を拭いた。
ズカズカと部屋の中に入って来た直哉が、グイッとななの顔を掴んで、自分の方に寄せた。
目から涙が溢れているのを見て、直哉の目が細くなる。
今回ななを無理矢理側に置いても、ななの笑った顔は見る事が出来なかった。
「…泣かんといて… なな。」