【R18】禪院直哉→私←五条悟❇︎傷だらけの婚約者❇︎
第15章 新しい感情※
「直哉くん…、そろそろ高専に戻っていい?」
あの日から、ななは過ごす部屋は直哉の部屋だった。
「……………。」
懇願する訳でもなく、淡々と言うななの顔を直哉はチラッと見た。
「うちの事は?小春ちゃんより覚えた訳?」
直哉のその言葉に、ななはグッと拳を握った。
ななより遅く禪院家に入ったのは小春だったのに。
今ではなな以上に、禪院家の内情を回していた。
そもそも、教えられている事が小春の半分も任されていないななでは、その差はもう埋まらなかった。
そんな事分かっているのに、それでもななに自分への忠誠を試す直哉に目が眩むほどの怒りを感じる。
そんな感情を隠そうとしないななの表情に、直哉もまた目を顰める。
ななが変わったと認めざるをえなかった。
そしてその変わった感情は、直哉への気持ちだと嫌でも分かる。