【R18】禪院直哉→私←五条悟❇︎傷だらけの婚約者❇︎
第13章 夏の日
ああ、可愛い。
ずっと待っていただけあった。
「あの時の直哉くんの心配はする必要ないよ。」
直哉が直毘人に吹っ飛ばされて、ななはショックを受けていた。
「直毘人さんは、直哉くんを庇う為に殴ったんだから。」
もしあのまま悟に向かって来ていたら、あの程度で終わるはずが無かった。
ななの細い首に直哉の手が掛かった時に、抑えられない怒りが湧いてきた。
それを察知した直毘人が、悟から直哉を守る為に間に入ったのだから。
「俺が手を出していたら、あの程度で済むわけが無かった。」
そう微笑む悟は、ななの顔を優しく撫でる。
その悟の笑顔に、少し背筋がぞくっとした。
ななの表情が曇ったのを見て、悟はすぐにキスをする。
優しく抱きしめくる悟に、ななは不安になりながらも、悟の背中を抱き締めた。
直哉の時の様なときめきも胸の痛みも無いが。
誰かの腕の中にいる安心感に、久しぶりに息をつけた気がした。