【R18】禪院直哉→私←五条悟❇︎傷だらけの婚約者❇︎
第13章 夏の日
何をしていても、誰と居ても急に思い出す。
ななは目を伏せて直哉を思い出す。
直哉は今何をしているのか。
その隣に知らない女性が居るのでは無いか。
そんな事を考えれば、一度覚えてしまった嫉妬の心が体中にドロドロとまとわり付く。
今、他の誰かを考える余裕なんて無かった。
「まぁ、ななの考えなんて聞いてないけど。」
部屋に帰ろうとしたななの腕を悟が掴んだ。
掴まれた腕に振り返ると、悟の唇が触れた。
頭を掴まれているが、その手の力は強くない。
大切なモノを撫でる様に、悟の手が紙と頬を撫でている。
「残念な事に、決定事項だなな。」
唇を少し離すと、サングラスの奥の悟の目に、視線を奪われた。
「嫌がってもいいし、逃げてもいい。俺は髪を掴んでも離す気は無いから。」
もうただ優しい男に惹かれないだろう。
直哉のあの異常な束縛を愛と感じたのなら、それ以上の呪いをななに注ぐだけだ。