【R18】禪院直哉→私←五条悟❇︎傷だらけの婚約者❇︎
第10章 禪院直哉②※
ちゅっちゅっと繰り返されるキスを、必死で返した。
そうしなければ、直哉が離れてしまうように思えて。
不安な気持ちを和らげる為に、直哉に何度もキスをする。
「…なな泣くのもうやめよか。」
直哉が涙を指で脱ぐうのを見ながら、ななは涙を堪えるように息を止めた。
ヒクッと小さな吃逆が出た。
「ええ子やねなな、ほんま可愛いなぁ。」
直哉は満足そうに、ななの瞼にキスをする。
直哉はこんな風に、その女の人に触れたのだろうか。
考えたくなくても、直哉が自分に触れる度に、そんな気持ちが込み上げてくる。
ジワっと出る涙を止めるのが辛かった。
「なな、出来るって何処まで?」
ヒクッとななの喉が鳴るのを見ながら、直哉は目を細めてななの頰を撫でた。
「……全部……。」
ななは腕を伸ばして、直哉の首に抱き付いた。