【R18】禪院直哉→私←五条悟❇︎傷だらけの婚約者❇︎
第9章 私の知ってる直哉くん②※
「そやな…違うななな。」
直哉の言葉と表情からは、その心情は汲み取れなかった。
「…なな…おいで。」
「………嫌よ………。」
直哉が伸ばした手を無視する様に顔を逸らした。
ピクッと直哉のこめかみが動いたのは分かるけど、ここで引けるわけが無かった。
「…今まで通りには出来ないよ…。」
直哉が他の女の人としている事を知ってしまった。
到底無かった事に出来なくて、目の前の直哉を受けいる事なんて出来ない。
「……面倒くさ……。」
ポツリと直哉が言った言葉に、一瞬思考が止まった。
戸惑っているななを気にする事無く、直哉は頭を掻いてベットから立ち上がった。
「機嫌治たら連絡してや。」
そう言うと直哉は部屋から出て行こうとする。
「っ!直哉くん!」
その直哉の背中を見て、思わず伸ばした手はしっかり着物を掴んでいた。