【R18】禪院直哉→私←五条悟❇︎傷だらけの婚約者❇︎
第9章 私の知ってる直哉くん②※
直哉以外の人とキスをしてしまった。
その行為がななを激しく動揺させる。
「こんな事で罪悪感感じるの?直哉くんはもっと凄い事やってるよ?」
ニヤッと笑う悟に、怒りが治る事が無い。
煩い。
もう聞きたく無い。
「どうした?思考停止か?」
拒む腕の力が弱くなっているななに悟は言った。
大きなため息を吐くと、さらに体の力は抜かれた。
ななはゆっくり顔を上げて、悟を見た。
「あなたが大嫌いなのよ。離して。」
涙はいつの間にか止まっていた。
心底嫌悪感を込めて自分を見るななの顔に、悟は嬉しそうに笑った。
こんなに嫌われているのに、笑ってられるなんておかしいんじゃ無いか。
全く理解出来ない悟の顔を見て腕を振り払うと、今度は簡単に悟の腕は離れた。
離れた悟の腕を確認すると、ななはすぐに悟に背を向けて歩き出した。