【R18】禪院直哉→私←五条悟❇︎傷だらけの婚約者❇︎
第6章 禪院直哉※
「…良かった…。」
「何が?」
「……直哉くん、もっと怒ってるかと思った。」
唇が離れて、吐息混じりにななが言った。
「…怒ってんで…。」
直哉がそう言うと、ななの肩が小さく跳ねる。
「ななには怒ってへん、悟くんはしばくの我慢した。
まともにやってもやり返されるだけやし。」
はぁと直哉はため息を吐きながら、髪の毛をクチャっと握った。
本当に五条悟でなかったから、とっくに制裁していた。
普通、人の家から婚約者を攫うだろうか。
直哉は目を開けて、少し怯えているななをチラッと見た。
「…なな、悟くんに何もされてへんか?」
ななの目を見て聞くと、ななの目がもう訳なさそうに伏せられた。
その意味を考えたら、直哉の眉毛が動いた。
「………キス……されそうになった。」
かぁっと顔を赤くして、小さい声でななが言った。