十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】
第5章 5
店を出た僕は、潤さんとの待ち合わせ場所に向かった。
僕の手には、雅紀さんが残り物だけど、と母ちゃんにと持たせてくれた餃子のパックが二つ。
雅紀さんには悪いけど、この餃子は潤さんと頂くことにするよ。
だって僕にとっては、母ちゃんの作る餃子の方が、数倍美味しく感じるからさ。
先に待ち合わせ場所に着いていた潤さんの車に乗り込むと、潤さんはすぐに餃子の匂いに気付き、雅紀さんの店の物だとも言い当てた。
「一緒に食べようと思って」
僕が言うと、前から行きたいと言っていたレストランの前を素通りして、潤さんのマンションのある方へと車を走らせた。
「予約してあったんでしょ? 良かったんですか?」
「家ならゆっくり出来るし、それに酒だって飲めるからな」
たとえ運転代行であろうと、自分の車を預けることが嫌いな潤さんにとっては、寧ろ好都合だったらしく…
マンションへ着くまでの途中にあるコンビニで、僕たちはアルコールを数本と、簡単なツマミ類を買い込んだ。
そうしてマンションに帰ると、玄関ドアを開けた瞬間に、僕の背中は壁に押し付けられ、まるで噛み付くみたく乱暴にキスをされた。
「餃子食った後だと、お互い口臭いだろうから、今のうちに」って。
そんなキスを受けたのは久しぶりだったから、ちょっとビックリしちゃったけど、でも…
雅紀さんに話を聞いたせいかもしれないけど、凄く…ドキドキした。
ま、餃子にニンニクは入って無かったんだけどね。