• テキストサイズ

十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】

第5章 5


そんな〝恋人未満〟にも満たない僕と潤さんの関係も、たった一枚の写真がきっかけで変わり始めた。

最初にそれに気付いたのは、ニノでもなく、潤さんでもなく、僕でもない…相葉さんだった。

丁度店の休憩時間にスマホを弄っていた相葉さんが、たまたま出かけたついでにと立ち寄ったニノに向かって、スマホの画面を向けた。

「え、これって智の…」って。

ニノは画面を見るなり、相葉さんの手からスマホを取り上げ、画面を暗転させてけどさ…

見えちゃったんだよね、チラッと…だけど。

アレは確かに翔くんだった。

「ねぇ、見せて?」

僕はニノに向かって手を伸ばした。

でもニノは首を横に振るばっかで、僕にスマホを渡してはくれない。

「ねぇ、見せてよ…。今の、翔くんでしょ?」
「ち、違う。智の知らない人だよ。ね、相葉さん」
「え、あ、う、うん。よく見たら全然違う人だよ」

ニノも相葉さんも、必死で言い訳してるけどさ、かなり苦しいよ、それ。


だって僕の目は誤魔化せないもん。


「いいから見せろよ!」

滅多に荒らげることのない声で詰め寄る僕に、ニノの肩がビクンと揺れ、動揺を隠しきれない目には、大粒の涙が浮かび始めた。

そして、微かに震える手で、僕にスマホを差し出してきた。

「驚かないで…ね?」って。
/ 279ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp