十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】
第5章 5
そんな〝恋人未満〟にも満たない僕と潤さんの関係も、たった一枚の写真がきっかけで変わり始めた。
最初にそれに気付いたのは、ニノでもなく、潤さんでもなく、僕でもない…相葉さんだった。
丁度店の休憩時間にスマホを弄っていた相葉さんが、たまたま出かけたついでにと立ち寄ったニノに向かって、スマホの画面を向けた。
「え、これって智の…」って。
ニノは画面を見るなり、相葉さんの手からスマホを取り上げ、画面を暗転させてけどさ…
見えちゃったんだよね、チラッと…だけど。
アレは確かに翔くんだった。
「ねぇ、見せて?」
僕はニノに向かって手を伸ばした。
でもニノは首を横に振るばっかで、僕にスマホを渡してはくれない。
「ねぇ、見せてよ…。今の、翔くんでしょ?」
「ち、違う。智の知らない人だよ。ね、相葉さん」
「え、あ、う、うん。よく見たら全然違う人だよ」
ニノも相葉さんも、必死で言い訳してるけどさ、かなり苦しいよ、それ。
だって僕の目は誤魔化せないもん。
「いいから見せろよ!」
滅多に荒らげることのない声で詰め寄る僕に、ニノの肩がビクンと揺れ、動揺を隠しきれない目には、大粒の涙が浮かび始めた。
そして、微かに震える手で、僕にスマホを差し出してきた。
「驚かないで…ね?」って。