十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】
第4章 4
ニノに半ば強引に連れられ、雅紀さんがやってるラーメン屋に来た僕。
晩御飯はしっかり食べたし、全然お腹は空いてなかった筈なのに、美味しい匂いってダメだね。
ちょっとだけ…のつもりが、スープまで完食してしまって、ひたすら後悔してる。
「雅紀さんのラーメンが美味し過ぎるから悪いんだ」
元々、雅紀さんの実家は定食屋をやっていて、雅紀さんも手伝ったりしてたらしいんだけど、何故かラーメン道に目覚め…厳しい(?)修行の末、自分で店を開いた…らしい。
だから、バカ舌の僕が言うのもなんだけど、味は最高に良い。
お腹がはち切れそうなのを雅紀さんの所為にしてむくれる僕に、雅紀さんは「ごめんごめん」と、いつもと変わらない爽やかな笑顔を向ける。
「なーんでまーくんが謝ってんの? 悪いのは、意志の弱い智でしょ?」
うっ…、それを言われたら、もう何も返せないじゃんか。
「まぁまあ、そう言うなって。美味しく食べてくれたんだからさ、ね?」
「うん」
美味しかったのは本当だもん。
「まーた、そうやって皆して智のこと甘やかすんだから」
「オ、オレは別に…、カズのことだって甘やかしてるつもりだけど?」
「ふーん、どうやって?」
ニノは、雅紀さんがニノを好きなことを知っている。
知ってて、こうやって雅紀さんのことをからかってるんだ。