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十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】

第3章 3


出発までの時間は、僕が思っていた以上に短く
て…

家族は勿論のこと、バイト先や行きつけの店への挨拶や何かで、僕史上最も忙しく動いていた…ような気がする。

翔くんは…きっと僕以上にバダバタだったんだろうね。
殆ど連絡も取れない状態だった。

でも、先の未来を考えたら、全然平気だったし、二週間なんてあっという間だった。


「翔くんの言うこと、ちゃんと聞くんだよ」
「翔くんに迷惑かけるんじゃないよ」


いつの間にか母ちゃんの口癖みたくなっていた言葉だ。

そう言われる度に、最初こそ「僕だって大人なんだから」って言い返したりもしてたけど、母ちゃんなりの寂しさの表れなんだと気付いてからは、言い返すのをやめた。

逆に父ちゃんは、特に何も言うことはなかったけど、一度だけ…

「まさか息子を嫁にやることになるとは…」って、一緒にお酒を飲んだ時に、ボソッと…本当に聞こえるか聞こえないかの声で呟いたことがあった。

その言葉を聞いた時、僕は飲んでいたお酒を吹き出しそうになった。


だって、〝嫁〟だよ?
僕だって男の子なんだからさ、せめて〝婿〟くらい言って欲しいじゃん?

まあ…、実際〝嫁〟でも間違ってはないんだけどね?


父ちゃんも母ちゃんも、口では何だかんだ言いながらも、僕の決断に反対することは一切無かったし、寧ろ応援してくれていた…んだと思う。
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