十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】
第2章 2
散々翔くんに揺さぶられ続け…
「あ、あ、あ、も…無理っ…!」
限界に達した僕は、目の前が真っ白になるような感覚に、後ろに倒れるようにして、そのまま意識を失った。
だからその後のことは…、正直何も覚えていない。
ただ、夜中に翔くんのイビキで起こされた時、ちゃんと身体が綺麗にされていることだけは分かった。
それから、バスローブと新しい下着も着けていることも…
それにしても、翔くんのイビキ、相変わらず煩過ぎじゃない?
でも…
向こうに行ったら、ずっとこうやって翔くんの寝顔を見られるんだよね?
イビキはちょっと…だけど、それはそれで嬉しいかも。
僕は翔くんとの新しい生活を想像して、ついでに期待に胸も膨らませ、再び眠りについた。
チェックアウト時間ギリギリに目を覚ました僕達は、大急ぎで身支度を整え、通行止めが解除された道を通って帰路についた。
家の前まで送って貰い、軽いキスだけ交わして車を降りた…けど、翔くんの声に呼び止められた。
「チケット、用意しとくから」
「うん」
「また連絡する」
「うん」
笑顔で翔くんに手を振り、車が角を曲がるまで外で見送り、漸く家の中に入った僕は、真っ直ぐに自室へと駆け上がり、ボストンバッグに身の回りの物を詰め込んだ。
楽しかった。
色々面倒なこともあったけど、新しい生活への期待しかなかったその時間が、僕にとっては一番の幸せだった。