十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】
第12章 12
絶対違う。
だって、いくら海外だとはいえ、黒髪の男なんてどこにでもいるし、それにネックレスなんてジェシーだってしてるもん。
全然特別なことなんかじゃない。
僕は自分に言い聞かせながら、それでも胸の奥にどんどん積もって行くモヤッとした物を払いたくて、閉店準備をするジェシーに声をかけた。
「あの…さ、その人がしてたネックレスって、どんなだった?」
僕が聞くと、ジェシーは「うーん…」と唸ってから、何かを思い出したように手をたたいた。
「逆行だから良く分からないけど、赤い石がキラキラしてて、それから…イニシャルみたいな…」
「もしかして、これと似た感じだったりする?」
僕はケツポケットからブレスレットを取り出すと、それをジェシーに見せた。
するとジェシーは、大きく一つ頷き…
「コレだよ。どっかで見たことあると思ったら、智のだったんだね」と…
その瞬間、 それまで〝疑惑〟が〝確信〟へと変わった。
翔くんだ。
ジェシーの言うネックレスが、もし僕のブレスレットと同じ物だとしたら、それを持ってるのは翔くん以外にはいない筈。
だって、僕達があの日手にしたのは、時分達で好きにカスタマイズ出来る物で、同じ物は多分…だけど、存在しない筈。
だとしたらやっぱり…