十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】
第11章 11
僕はいつも通り、同じ場所にキッチンカーを出しながら、ある計画を立てた。
って言っても、そんな大袈裟なもんじゃなくて、単純に僕が休憩に入る〝フリ〟をすれば良い、ってだけのことなんだけどさ。
ジェシーの話によれば、その人が現れるのは、決まって僕が休憩に入るタイミングだって言うし、だったら僕が起きてれば良いだけじゃん、って思って。
僕にしては名案じゃないか…って思ったんだけどさ、現実はそう甘くない…ってゆうか、簡単じゃないってゆうか…
頑張って起きてるつもりだったのに、いつの間にか眠ってしまった僕は、ジェシーに揺り起こされ…
飛び起きて慌てて外を見回したけど、もうその人の姿はどこにもなくて…
「殴ってでも起こしてくれれば良かったのに…」ってジェシーに文句を言ったけど、出来るわけないよね。
だってジェシー、見かけ反して優しいもん。
「ねぇ、その人の特徴とかないの?」
「特徴…髪黒い。あとは…男でしょ? それから…」
「わ、分かった、もう良いよ、ありがと」
これ以上聞いたところで、特定するだけの材料にはならないと判断した僕は、丁度焼きあがったパンをケースに並べた。
「あ、そうだ…。ネックレス…。どっかで見たことある」
「ネックレス…?」
僕の中で、その一言が何故だか凄く引っかかった。