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十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】

第9章 9


実際、僕がニノに抱かれても良いって思ったのは、勿論僕自身が前に進むためではあるけど、ニノにもちゃんと雅紀さんと向き合って欲しかったから。

だって、ずっと僕のことを想ってたって、僕とはきっとニノが求めるような関係にはなれないし、僕だってそうだ。

潤さんと付き合ってみて分かったんだ。

僕が求めてるのは、これまでも、そしてこれからもただ一人、翔くんだけだってことが。

でもちょっとだけ確信が持てずにいたのは、本当に僕がこの先ずっと翔くんだけを想っていけるのかが、どうしても不安だったから。

だからニノに身を任せた。

ニノに身を任せることで、もしかしたら翔くんへの想いが断ち切れるかもしれないと思ったのも事実だけど、本音では確かめたかっただけ。

もう二度と交わることのない糸を、僕はずっと握って居られるのかを…

勿論、永遠に…ってわけじゃないし、そこまでは僕だって自信がないけど、少なくとも、翔くんを忘れられるくらいまでは、って。

「ねぇ、笑わないで聞いてくれる?」

長い沈黙の後、僕が切り出すと、ニノが僕の背中で「うん」と頷き、僕を抱きしめる腕に少しだけ力を込めた。
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