十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】
第9章 9
ニノが退院してから一週間、実家には戻らず、アパートに戻ったニノを、僕は毎日のように訪ねた。
大した怪我もなく、数日の入院だけで退院は出来たものの、元々持っていた腰痛の悪化と、折れてまではいなかったけど、利き手でもある左手を痛めたせいで、生活に支障もあるだろうと思って。
勿論、僕が出来ることなんてたかが知れてるし、ニノは必要ないと言った。
けど、僕は仕事帰りに雅紀さんが用意してくれる弁当を届け、シンクに溜まった汚れた食器を片付け、洗濯をして…
本当はさ、全部雅紀さんがしたかったこと。
でも雅紀さんは、一社員の僕とは違って仕事もおおいし、時間だって思うように作れない。
それに、ニノのお袋さんにもたのまれちゃったし…
「智ちゃん、よろしくね」って。
おかげでニノからは、「通い妻かよ」ってからかわれたりしたけど…
ただ、そんな冗談も言いながら、ニノがストレスを溜めてるのは明らかで。
それは多分、利き手の自由が利かないことで、大好きなゲームも出来ず、加えて在宅でも出来るようにと送られてきた仕事も、予定の半分程しか進まないことからで…
僕に見せることは無かったけど、僕の見えないところで、物に当たったりしてるんだろうなってのは、少しづつ荒んで行く部屋の様子からも見て取れた。