十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】
第2章 2
通りすがりにあった、〝超〟が付く程有名なラーメン店で軽く食事を済ませた僕達は、特に行く宛てもなく車を走らせ、気付いたら海の見える小高い丘まで来ていた。
車を降り、簡単な遊具があるだけの公園を、二人で並んで歩くと、自然に僕達の手が繋がった。
一応辺りを見回してみるけど、周囲に人はいない。
「なんか久しぶりだね」
「何が?」
「こうやって手繋いで歩くの、久しぶりだなって思ってさ…」
「そうだっけ?」
「そうだよ」
翔くんは忘れちゃってるかもだけど、僕はちゃんと覚えてるもん。
「あ、ねぇ、僕ブランコ乗りたい」
「はあ? マジで言ってんの?」
「うん🎶」
僕は翔くんの手を引き、ブランコに向かって駆け出した。
海風に晒された所為か、鎖は見事に錆び付いてるし、座板だって所々朽ちて来てはいるけど、(多分)まだまだ現役みたいだし、少しくらい平気だよ…ね?
僕は若干の不安を感じながら、そっと座板に腰を下ろし、錆びた鎖をしっかりと握った。
「ね、押して?」
「は? 俺が? 何で」
だって他に誰が押してくれるの?
翔くんしかいないじゃん?
「ねぇ、早く」
「ったく、しょうがないな…。つか、スマホ、ケツポケットに入れとくと落とすぞ」
「うん、じゃあ翔くんが持ってて?」
僕がスマホを翔くんに差し出すと、翔くんがちょっとだけ呆れた顔をして、それでも僕の背中をそっと押してくれた。