十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】
第6章 6
「壊れ…ちゃう…」と、口では言いながら、僕は心の中で全く逆のことを思っていた。
もっと壊して欲しい。
翔くんのことも全部忘れるくらい、めちゃくちゃにして、って。
でも無理だった。
潤さんが腰の動きに一層の拍車をかけ、「クッ…」と低く梅いてから、僕の中に熱を吐き出した瞬間、僕の脳裏には翔くんの姿が浮かんでいて…
違うのに…
今僕の目の前にいるのは、潤さんなのに…
どうして…
僕は潤さんだけに…
僕のために汗を飛ばす潤さんにだけ集中しようと、僕の中へ熱を注ぎ終えた潤さんの身体を押し、今度は僕が潤さんの上に跨る格好になった。
「まだまだ足りないよ…。もっと欲しい…」
潤さんの腹に両手を着き、ウィッグがずり落ちるのも構わず、無心で腰を振った。
潤さんは凄く驚いた顔をしてたけど、でも僕に応えるように腰を突き上げ、僕の身体を撫でてくれて、僕がイけるように中心だって握ってくれて、擦ってもくれて…
そうして漸く…
「あ、あ、あ、ああっ…、イクッ…」
僕は潤さんの腹の上で熱を散らした。
そんな僕を潤さんは、「良く出来ました」って抱きしめてくれたけど、僕にはそれが凄く申し訳なく感じて…
だって、最後の一滴を絞り出した瞬間、僕の脳裏に浮かんだのは、潤さんではなく…
やっぱり翔くんの姿だったから…