第8章 Jeremiah29:11
「…俺も怒られてばかりだった」
「そっか…」
智の遠くを見る目の先には、ご家族が居るんだろうか。
智を恨んで、智を死に誘っているんだろうか。
今でも智の中では、なにも解決していない。
発作を起こしてぶっ倒れたのはこのせいだ。
ここをクリアにしないと、智は前に進むことは出来ないんじゃないかと思う。
「育ちが良く見えるのなら、家族には感謝しなきゃいけないね」
「…しとけよ。後悔するぞ」
「うん…」
でも、正直言うと怖い。
家族が俺のことどう思っているのか、知るのは怖い。
突き放された理由はわかる。
俺が乱れた生活を送っていて、家族を顧みることをしなかったから。
そしてずっとそういう生活が続くと思われてしまったから。
それはこれからの自分の行いで、違うってわかってもらうしか無い。
大学には真面目に通っているから、成績はどうであれ少しは見直して貰っているとは思う。
卒業してからの話も最近は出るくらいだし…
まだあと4年もあるのに。
だけど俺がゲイだってこと知ったら…
いや、知ってたら…
多分一生、許されることはないと思う。
「早く食えよ」
「智こそ…いっぱい食べていいからね」
「レモンくれ」
「はい」
「あっ」
「目が…目がぁぁぁっ…」
「すまん翔!!」