• テキストサイズ

Maria ~Requiem【気象系BL】

第8章 Jeremiah29:11


「…いつもおまえに見られてるから、見てやろうと思って…」
「なにそれ子供か」

俺があんな事言うから、やりかえしてやろうなんて…

そんな元気が出てきたことが嬉しい反面、確実に別れの時間が近づいてきていると暗澹たる気持ちになった。

「それに…」
「ん?」

いつまで経っても食べないから、智の前に置いた小皿にキャベツを盛ってカキフライを3個ほど放り込んだ。

「ありがと」
「うん。熱いうちに食べちゃいなよ」
「うん…」

そう言ってから、自分の皿にキャベツを盛っていたら、やっぱり俺の事見てる。

正確に言えば、俺の手を見てる。

「なに…?どうしたの?」
「あ、いや…」
「なんか変だった?」
「違う。逆だ」
「え?」
「…翔のイタダキマスも、箸を使う様子も…すごく綺麗だ」
「綺麗って…」
「俺の周りには、そんな綺麗に食事ができるやついない」

真顔でそんな事言うから、急激に顔に血液が集まるのを感じた。

「なっ、何いってんだよ…」
「前から思ってたんだけど、翔、やっぱり育ちがいいんだな」
「そんなことない…」

母親には常に怒られてばかりだった。
その中にはマナーに関するものも多かったけど…

あのときは煩いとしか思えなかったけど、今となっては感謝するしかない。

「いつも、怒られてばかりだったけどね…」
「家族に?」
「うん…」

/ 363ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp