第8章 Jeremiah29:11
高校に進学する頃、俺は家族に見捨てられた。
今のマンションを親に与えられて、学校には黙って一人暮らしをさせられた。
家族であることを拒否されたというわけだ。
自業自得だ。
なのに…
自分が最初に家族を蔑ろにしたのに、捨てたのに。
俺は家族を恨んだ──
幼稚な恨みを抱え、ますます俺は俺を汚す作業に没頭した。
ある日、遊び疲れて帰る明け方。
まだ陽も昇っていない暗い中、家族連れを見かけた。
父親に母親そして小学生くらいの三兄弟が仲良く手を繋ぎ、早朝の道を駅に向かって歩いている。
旅行にでも行くのだろう。
一番小さいガキはおもちゃのキャリーケースを運んでいた。
なぜか胸が締め付けられた。
苦しさに耐えられず、空を仰ぎ見た。
青白い夜空は、星ひとつ映し出していない。
涙が溢れた。
叫び出したいほど、胸が苦しかった。
俺はひとりだ
櫻井家の長男であることだけがとりえの俺は、死んでしまった。
俺が殺した。
なんの罪の意識も感じず、ボロ雑巾のようにして殺した。
だから今の俺は
何も入ってない
魂のない
からっぽの器
どうしようもないところまで自分で堕ちて
まだそこで、のたうちまわっている