第7章 1 Corinthians 10:13
味噌汁が無事に出来上がって。
食卓に夕食を並べた。
「ネギと豆腐の味噌汁だから大丈夫だよ」
「麩じゃなかったのか…」
「…信じてたの?」
「うん…」
可愛い。
「今度作るよ」
「いいよ別に…」
レシピよりだしの素をちょっと入れすぎちゃったけど、そのぶん水を足したし味噌も多めにした。
だから味は、多分大丈夫。
炊いたごはんと味噌汁、買ってきた惣菜を並べたらなんとか夕飯の食卓になった。
「うまそうだな」
「うん。デパートの人が作ってるからね」
「味噌汁もうまそうだよ」
「智ってそういうお世辞も言えるんだね」
「ぶっ…おまえ俺を何だと思ってんの?」
「不器用な人?」
智は苦々しい顔をして、味噌汁を手に取った。
ずずっと啜ると、俺を見た。
「旨い」
「良かった!」
ご飯も少なめに盛ったんだけど、ちゃんと全部食べてくれたし。
成人男性にしては少なくて、ダイエット中の女子高生みたいな量しか食べられなかったけど、ずっとおかゆみたいなものを食べてたから、今日はこれでいい。
少しずつではあるが、回復している様子で嬉しかった。
「なんか久しぶりに普通の飯食った」
「普通食久しぶりだったもんね」
「…今までおまえの分とは別で用意しなきゃいけなかったな」
「え?」
「ごめん。そういうの気づいてなくて…その、めんどくさかっただろ?」