第7章 1 Corinthians 10:13
「ああ、そりゃ…雅紀だな…」
「マサキ?」
授業が終わって、買い物をして家に帰った。
智の物をあれもこれもと買っていたら夕方になっていた。
寝室は夕闇に照らされて、薄暗い。
智はずっと寝てたようだ。
ベッドの上で、寝ぼけ顔で俺を出迎えてくれた。
俺の話を聞くと最初は緊張した面持ちだったが、どんな年格好の人だったか聞かせると、安堵した表情を浮かべた。
「ああ。俺の、親戚の…おじさん?」
「なんで疑問形なの?」
「…おじさんっていうと、オッサンぽいから…若いから40過ぎには見えないんだよね」
「えっ…!?あの人40過ぎてるの!?」
「うん。まあ…」
「若いね。だから呼び捨てにしてるの?」
「あ、ああ…まあな」
俺よりはオジサンだと思ったけど、若く見えてたから驚いた。
「じゃあ、あのもう一人の若い人…」
「…え?」
「可愛らしい感じの…男の子?」
智はベッドに寝たまま怪訝な顔をした。
「一人で来てなかったのか?」
「あ、ううん…一人で来てたんだけど、見送ってたら後から男の子が雅紀さん?に駆け寄って行ったのが見えて…智の知らない人…?」
「…わかんね…」
「そっか。雅紀さんの息子さんかなあ?だとしたら俺より下なのかな」
「ふうん…」
少し、智の雰囲気が硬くなった。
なんか怒ってるようにも見える。
「どうしたの…?」
智は俺の顔を見上げると、なんでもないという風に顔を横に振った。
「そっか…ねえ、今日はご飯リビングで食べない?」
「え?」
「たまにはいいでしょ?」
智の腕を取ると、上半身を起こした。