• テキストサイズ

Maria ~Requiem【気象系BL】

第6章 Epistle to the Romans 5:12


もう、少しくらい動くのも苦じゃなくなってきた。
数日前までは、ベッドの上にいるだけだったのに、少し起き上がっていると息が苦しくなって、すぐに横になってしまう有様だったのに。

こうやって体力が回復したの、翔にはわかるんだな……

「だいぶ、頑固な汚れだね…」
「すまん」
「あの日、雨降ってたもんね。かなり濡れてたし」
「……」

あの日のことは、話題に出したくなかった。
もしもターゲットの死体が見つかったら…
翔は俺とその事件を結びつけるんじゃないかと思ったから。

「それに智さ。倒れた時、泥水に頭から突っ込んだんだよね」
「は…?」
「なんか近くにでっかい水たまりがあってさ。そこに顔から突っ込んだんだよね。俺、焦ったよ」

そんなのあったか…?
もう今となっては思い出せない。

「水たまりで人って溺れられるんだよ?知ってた?死亡例も出てる」

俺が返事をしないのに、翔は必死でべらべらと喋ってる。

「だから思わず引っ張り上げたら、智が俺に向かって倒れ込んできてさ。俺までびしょ濡れになっちゃって…」

くくく…と笑うと、シャワーヘッドを取った。
お湯を出す音がして、俺の頭に温かい湯が掛かった。

「でも…智……」

翔がなにか呟いたが、シャワーヘッドから出る湯の音でよく聞こえなかった。

/ 362ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp