第4章 Proverbs 28:13
「おまえが…最後まで面倒みてくれるんだろ…?」
「でも智…っ」
「でももクソもねえ…俺にはここしか…翔しか頼れないんだよ」
「智…」
「だから頼む。動けるようになるまで、ここに居させてくれ…」
じっと泣きそうな目を見上げていた。
ぽろりと大きな目から涙がひと粒だけ落ちてきた。
「…ホントに…いいの…?」
「ああ…おまえが治してくれよ…」
「だってまた、死にかけちゃうかもしれないよ…?」
「…おまえがいなきゃ…もともとあそこで死んでたんだ」
「そんな…本当はそんなことないでしょ…?」
もちろん、雅紀にあの場で連絡がついていたら…
翔が現れなければ、松岡の爺さんに連絡がついていたと思うし…
「ばーか…いいから面倒見ろ」
「…うん…」
またぽろっと一粒、涙が落ちてきた。
翔ははっとした顔をすると、ゴシゴシと両手で目を擦った。
「…ごめん…ここ何日も、智が目を覚まさないから、正直弱気になってた…」
「目が覚めたんだから…おまえの治療が正解だって思っとけよ」
「いや、そもそもさ……」
「いいから」
まだなにかいいたげな翔の言葉を遮った。
「もう、寝てもいいか…」
「あ、うん…また、点滴いれさせてもらうからね」