第21章 Psalm 121:1-3
西島は眉間のシワを指で挟んで、少し考えるように黙った。
「そんなに…翔は…苦しんでいたのか」
思わず問うた声が震えてしまった。
「木に例えると、おまえは根っこをしっかり張れているが、櫻井翔はその根っこが貧弱なんだ。だから元々が大きな風が吹けばすぐに倒れるような状態だったってことだ。おまえのせいじゃないんだから、そんな深刻になるな」
俺を見上げると、西島は少し笑った。
「智みたいに開き直れるわけでもなく、俺みたいにずる賢く生きられるわけでもない…ある意味本当のお坊ちゃまってことだ」
「弱いって言いたいのか」
「…さあな。人ってそんなチンケな言葉じゃ説明できねえんだよ」
髪をかきあげると、天井を見上げた。
「これからマトモに話ができればいいんだがな。あの状態じゃ、しばらくは無理かもな…」
「ああ…」
「時間のかかる患者をご紹介いただいたわけだ」
にやりと笑って、長椅子の背もたれに肘を乗せてこちらを見た。
「ごめんて」
「まあ、相葉さんには世話んなってるからな。おまえのことで借りなんて返せないほどにな。だからしばらく坊っちゃんに付き合ってやるよ」
「…ヒマなのか?」
「オイ」
「ありがとう」
西島の顔は見られなかった。
頭を下げると、俺の肩に西島の手が触れた。