第4章 Proverbs 28:13
「ちょっと智!いつになったら来るのよ!私まで遅刻しちゃうじゃない!」
派手な音を立てて、しびれを切らした姉貴が部屋に飛び込んできたようだ。
「ああ、もうお父さんが車で送ってやるから…」
「ほんとほんとなの!?」
「そのついでにコンビニで茶菓子でも買ってきましょうか」
「ああ、じゃあ母さんも一緒に…」
「準備してきますわ」
「ちょっと待ってよ!それじゃ時間が…」
「すぐよ!すぐ!チャチャッと!」
「ちょっと、おかあさぁん!チャチャッと準備が終わった試しなんかないじゃないのよ!」
バタバタと母さんと姉さんが俺の部屋を出ていく音。
「ほんと煩いんだから…なんで静かにできないんだ、女どもって」
ミシっとマットレスが沈んだ。
「……智、起きなさい。それと女性蔑視発言はやめなさい。モテなくなるぞ」
「…うす」
父さんいたの忘れてた。
「つか、今までモテたことなんてねえし」
「嘘つけ。俺の息子のくせに」
「薄らハゲなのに…?」
ぼこっと布団の上からグーで背中を殴られた感触がする。
「…殴ったね!親父にもぶたれたことないのに!」
「俺は誰なんだ!お前の父さんじゃないのか!?大体2回殴ってないだろう!?」
ぼふっと、今度こそ布団越しに2回目のパンチが来た。
「これでよし、さあアムロ!来い!」
「チッ…ファーストガンダムネタにも対応できんのかよ…どんな夫婦だよ…」
「何をブツブツ言っているんだ」
「なんでもねえよ!」
「…じゃあ、薄くなる呪いで、お前のヘアブラシでお父さんの髪の毛を解いてやる!」
「や、やめろおおおお!!!」