第20章 Romans5:3-4
「雅紀、この番号…」
「ああ。それ、滝藤の調査した分だな…」
「滝藤?」
「おまえ、会ったことなかったっけ?細くて幽霊みたいな顔したヤツ」
「そんな人いたっけ?」
「まあ、そのうち顔合わせんだろ。アイツ、人の印象に残らないように変装するの上手いからもう会ってたりしてな」
マグカップに入ったコーヒーを飲んでいると、雅紀が紙袋の中からA3用紙を数枚出してきた。
「これが、滝藤の作った対応表。写真の裏に番号が振ってあるのが、滝藤の仕事だ。あとのは写真の裏に名前が書いてある」
「ありがとう」
A3の紙を開いてみると、一覧表になっていた。
名前とか住所とか今なにをやっているかとか、一覧にして見やすくしてある。
滝藤という人は真面目で几帳面な人なんじゃないかと思った。
「いた。51番…沢村…」
そういう名前だった気がする。
いつも金魚のフンみたいな部下と一緒につるんでて…
俺の印象だと、女好きでだらしない感じのする男だった。
「なんだよ。結構いい男だな」
「ああ…背も高いし顔もいいから、会社の行事のとき常に周りに女が居た気がする…」
「へえ。エロ男爵だ」
「なにそれ?」
「たぶん社内不倫とかしまくってたんじゃねえの?」
「…有り得そう」