第20章 Romans5:3-4
「これな、人数が結構いたから分割して調査を依頼したんだ」
「ああ…なるほど。やっぱ人海戦術じゃないといけないってことだよな」
「そうだな。年代は区切らせてもらったが、所属してた社員は結構な数いたからな」
「それを一人でやろうとしてた俺、馬鹿だな…」
「ふ…」
雅紀は苦笑いとも、つかないような笑い方をした。
「なんだよ?」
「あんな…松本潤ってわかるか?」
ギクリとした。
なんで雅紀がその名前を知ってるのか。
「知ってるんだな?まあ、当然か…」
「和也か」
「まあ、そうギラつくなって。手出ししやしねえから…」
パンっと俺の肩を叩いて、雅紀はカウンター下の冷蔵庫から
キャニスターを取り出した。それから後ろに置いてあるコーヒーメーカーからポットを取ると、浄水をそこに入れた。
「松本潤ってヤツは…ほとんど大野製作所のこと、一人で調査してるよ」
「え?」
ポットに入れた浄水をコーヒーメーカーに入れると、ため息を付いた。
「まだ調べてるんだよ。櫻井翔と一緒にな」
爺さんから会ってるとは聞いてたけど、松本潤がなにをやってるかまでは調べて貰ってなかったから、そんなことしてるだなんて思ってもみなかった。
「ただ、あのお坊ちゃんはよ。俺たちとは違う、真っ当なルートで事に臨んでるんだ。真似できねえよ」