第4章 Proverbs 28:13
「ほお…智はにちゃんねるなんか読んでるのか」
「あら、お父さん」
ミシミシと部屋の床板が軋む音がしてる。
父ちゃんまた体重増えた?
最近ゴルフ行ってないもんなあ…
なんか仕事忙しいって、家にまで会社の人来てるし。
「にちゃんねるなんか知っているんですか?」
「俺はひろゆき氏が好きだ」
「あらあ…あのひと借金30億円ですよお」
「母さん、あれは借金じゃなくて損害賠償だぞ」
いや、ひろゆきの情報いらんし。
大体なんでそんな詳しいんだよ。
「あら、そうだったのね。知らなかったわ」
「智、起きなさい。じゃないと父さんが朝飯にありつけないだろう」
オイ、母さんが用意しないと飯食わないのはあんただろうが。
「…自分で用意しろよ…ください」
「ふむ。丁寧に言えばいいってもんじゃないぞ?智」
ミシっと音がして、父さんもベッドに座ったようだ。
まだ俺は狸寝入りの最中だから、目を開けられない。
父さんの整髪料の匂いと、台所から漂ってくる朝ごはんの匂い…
「ちょっとー!智、先に行くよー!?」
玄関から聞こえてくる、姉貴の元気な声。
「ほら、智起きなさい」
「もう高校生なんだから、自主的に起きるまで放っておこう」
「そんなこと言ってたら、速攻で留年ですよ、この子」
…随分な言いようじゃないか!