第4章 Proverbs 28:13
だいたいあたしの時とか言って、年だって1つしか違わないからそんな時代変わんねえだろ…
「ほんと言う事大げさなんだよ…女は」
「あら。智はお母さんの事もそう思ってるの?」
背筋がさっと冷たくなった。
「う~ん…俺はまだ寝ている…今のは寝言だ…」
「あらあ…智は狸寝入りを覚えたのね!レベルアップ!」
ティロリロリ~ン♪とか口でいいながら、母さんはベッドに座った。
俺は狸寝入りを決め込んでいるから、目は閉じたままだ。
「なにそのレベルアップ音…古ぃ…」
「えっ…そうなの!?」
母さんは体の向きを変えて手を付いたらしく、マットレスが中央に向かって沈み込むのを感じた。
「そんなことはどうでもいいのよ、とっとと起きないと、チャリンコ取り上げるわよ」
嘘だろ…俺の生命線なのに…
「いいのね。あのイカス自転車、お母さんが乗っても」
そういうと、鼻歌を歌い始めた。
これは最近アメリカで流行ってるブルーノ・マーズの曲だ。
「相変わらず、耳は若いんだから…」
「え?なんか言った?智」
「いえ、これも寝言です。あのチャリンコに乗ってもいいけどバス代を寄越せください」
「何その日本語。いにしえのにちゃんねる?」
…俺より新旧の流行に敏いのまじでやめてくれ…
高校生男子の立つ瀬がないじゃないか!