第20章 Romans5:3-4
「冷たいっ…」
慌てて顔についた雫というか、霧状の水分を袖で拭いた。
「バーカ。油断し過ぎなんだよ」
「んだとこの…」
俺も自分の飲んでたグラスに指を突っ込んで、お高いぶどうジュースを飛ばしてやった。
「ちょっ…おまっ…やめろよ!それ、服についたら染みになんだろ!?それにこれ、ボルドーのっ…」
「うっせー!先にやったの雅紀だろ!?」
もう一発お見舞いしてやろうとしたら、グラスを没収された。
「おまえにはもう、ボルドーのジュース飲ませねえ!!」
「うっせー!ウェルチとなにが違うんだそれ!?」
「…は?」
「は?」
雅紀は今日イチの間抜け顔をした。
「…馬鹿舌…?」
「うっせー!」
「え?だってボルドーだぞ?なにウェルチって…いや、ウェルチが悪いわけじゃないけどさ…」
ぶつぶつと言いながら、手に持ったグラスをしげしげと眺めている。
「ボルドーだぞ…?」
本気で信じられないって顔をして、俺のこと見た。
「松岡の爺さんにも…」
「あ?」
「缶コーヒーと普通のコーヒーショップのコーヒーの違いがわからないって言ったら、可哀想な生き物を見るような目で見られた」
「ぶふぉっ…」