第4章 Proverbs 28:13
「智…智…」
姉貴の声がする。
またノーノックで俺の部屋に侵入かよ…
「…むにゃ…」
「学校さぼっててもいいけどさあ。規則正しい生活しなよ?頭ん中、ふやけちゃうよ?」
ベッドの中で布団を抱きしめ直した。
「うっせぇなあ…」
目を閉じたまま答えると、姉貴の舌打ちが聞こえた。
「全くさあ…お父さんもお母さんもあんたのこと甘やかすよね。私のときは絶対学校行けって、家から蹴り出したのにさ」
「蹴り出すって大げさだろ……」
「ほんとよお!お母さんが玄関で私の尻、引っ叩いたんだから!」
「そりゃ叩いたんであって、蹴り出しじゃ…」
「うっさいのよおお!」
もお…女はすぐこれだ。
学校の副クラス長やってる女子とそっくりだ。
「話、最後まで聞けよぉ…」
「あんたはマザコンだから、すぐお母さんの肩持つもの!」
「いやだから、そりゃ可哀想だなって思ったのに…」
「フンだ。高校生になったら上手に嘘つけるようになったじゃない」
「フンだって久しぶりに聞いたな…」
「あん!?」
「嘘じゃねえよ…嘘じゃ…」
姉貴の怒った足音が聞こえて、どうやら部屋から出ていったようだ。
すぐ怒るんだから。
俺のこと弟じゃなくて、女友達だとでも思ってんじゃないだろうか。
もうちょっと男兄弟なんだから、距離置けよな…
「つか、思春期男子の部屋にノーノックで入ってくんなよ…」
ほんと、俺だと思ってノーデリカシーなんだからよお…